元事務次官の長男殺害の概要
農林水産省の元事務次官76歳が長男44歳の首などを包丁で刺し殺害した事件。
恋愛と結婚をテーマとしている当ブログでは、恋愛と結婚の視点から、なぜ事件が怒ったのかを考えてみたいと思います。
事件の起こった家庭の家族構成は、長男を殺害した元事務次官の父親と母に長男と長女の4人家族でした。
中学の頃から長男はイジメに合い家では母親に暴力を振るうようになった。
高校卒業後は日本大学の理工学部に進学したものの日大を退学し流通経済大学へ編入。
これらの進路は、父親である元事務次官が協力してきた。
長男が一人暮らしをしていたときは、ゴミ屋敷化した彼の住居を定期訪問しゴミの始末まで元事務次官である父がしていた。
流通経済大学を卒業後修士課程にも進み、就職活動となったがうまく行かず、アニメ関係の仕事がしたいと、佐々木アニメーション学院に進学し卒業後に希望するアニメ関係の会社に不採用となったため、パン学校に通うことになる。
ここまで父に面倒をみてもらえたら、長男もなんとかなりそうなものであるが、上手くは行かなかったようで、総合失調症・アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)と診断を受けていた長男の主治医の紹介で、働き出した先でも問題を起こし、包丁で上司を刺すと言っていると勤務先からの連絡を受けた父が長男の元に行き説得している。
その後も元事務次官である父は再び佐々木アニメーション学院へ彼を入学させ、長男が出店したコミックマーケットで店番の手伝いをしたり、彼に月々30万の小遣いを与え、彼が賃貸物件や駐車場経営で生計を立てられるよう準備を整えたりしている。
その間に長男の家庭内暴力、長女の婚約者にも暴力と金の無心に嫌がらせで破談となり長女は自殺していて、母も自殺未遂とうつ病で、壮絶な生活だったことが想像できるが、長男は改心するどころか凶暴性を増して行ったのだから手に負えません。
そして、近所の小学校で開かれていた運動会の歓声に「うるせぇ。子供らをぶっ殺す!」と怒号を浴びせる長男の声を聞き、本当に殺しかねないと父が長男を複数回刺したのち自ら110番通報したのが、今回の事件をまとめた大まかな概要です。
長男の逃げ道はアニメとネット
人間関係をうまく築けない長男、彼自身も生きにくい社会であったであろうことは想像できますが、彼が生きる為にしていたことは、我儘を言えば言うほど自由にできたことです。
彼の生きがいは、人間関係が上手くできなくとも、なんとかなるネトゲとアニメの世界を生きがいにしていたわけで、その逃げ場となるネトゲとアニメの世界を守る行動が我儘を貫くことだったかもしれません。
子供が玩具売場でダダをこねて泣き叫ぶのに似ています。
親が「買ってあげません」と言うと要求を通すために子供は泣き叫びます。
体験的に要求が通ると知っている子供ほど、強く泣き叫ぶのと同じです。
元事務次官に殺害された長男も、暴れれば暴れるほど、殺すと喚けば喚くほど自分の要求が通ってきたわけですから、改心することはありません。
改心すると楽ができず外の世界に出て働かなければならなくなったり、ネトゲとアニメの世界から遠のいてしまいます。
子供ならまだしも、40歳を超えた長男が自分の自由と快楽を手に入れるための行動が、自分を守ってくれる親を脅すことなんですから、留まることなんてなかったでしょう。
人間関係をうまくできない人は沢山いますが、それなりに生きている人も沢山います。
人間関係が苦手な人は、自ら人から遠ざかり人里離れた山で炭焼きや木工製品を作ったりと、あまり人と接しなくても生活できる基盤を作っています。
自分が人間嫌いとか、社会に適合できない人間であると自覚していれば、そのような生き方もできますが、事件となった長男が生活の拠点としていた場は、社会から孤立した場ではありませんでした。
彼の父である元事務次官も学校に彼を何度も入れたりして、一般的な社会へ適合させようとしています。
近所からは変わり者あつかいで、女性との接点もなく人間関係を築けない彼に取っては地獄だったかもしれません。
もちろん、そんな彼に好意をもつような女性なんかもいませんから、恋愛や結婚なんて夢のまた夢です。
もうアニメとゲームの世界に逃げ込むしかなかった彼ですが、そんな彼がいたら家庭はおかしくなっていきます。
東大を卒業し事務次官まで上り詰め社会的に成功した父親であっても、長男がいるせいで家庭はボロボロで娘の婚約は破談となり娘は自殺までしていて、妻も自殺未遂と最悪な状態が続いています。
娘の自殺と妻の自殺未遂だけでも、耐え忍ぶことができる人がどれほどいるでしょう。
ここまで家庭が崩壊すると元事務次官の行動に同情が寄せられるのも、わかるような気がしますが「長男に殺されると恐怖を感じ長男を刺した」との言葉を裁判官は「短絡的である」と否定して「強固な殺意で殺した」としています。
それは「第三者に相談していないから」であるとされていますが、東大を卒業し元事務次官であった父にしてみたら、なにもかもぶっ潰した長男は大きな汚点であったわけです。
警察に連絡すれば、パトカーが家に来るかもしれないと思ったら近所から白い目でみられることも想像が付きます。
一般的に上流階級となれば、世間から羨望の眼差して見られて当たり前であって、冷ややかな目で見られるなんてことは有り得ません。
出来ることをしつくした元事務次官にとって、長男は恥でしかなかったんです。
そして、人様に迷惑が及ばないようにと、自らの手で長男を殺害することは、エリートである元事務次官が守った最後のプライドだったかもしれません。
元事務次官の妹が「兄は武士ですよ。最後は親の責任で決めたのでしょう。それは親にしかできない事」と言っています。
できの悪い息子を自ら殺すことが親の責任だとは思いませんが、いたれりつくせり長男を育てた事が問題だったのかもわかりません。
小さい頃に玩具売場で泣き叫ぶ子供の対処を少し間違えただけで、人格を形成する間に少しづつ悪循環にいたって、気がついたら事件になってしまった。
でも人格の形成は育った環境が大きく影響しますが、環境で全ての性格が決まるものでもありません。
しかしながら、生まれた家庭環境で人生に大きな差が生まれるのも事実です。
生後病院で取り違えられ60年後に取り違いが発覚した人がいました。
裕福な家庭と貧困家庭の子供が病院で入れ替わっていたんです。
家庭教師がいて大学進学後に親の跡をついで社長になった子と、中卒で働き金銭的に苦労した子。
生まれてすぐに宝くじに当たった人と貧乏くじを引いた人が入れ替わったようなもので、人生のスタートラインの差は大きく、入れ替わった2人は60年後に事実を知ってなんと思ったでしょう。
長男が元事務次官の息子として生まれてなかったら
もし元事務次官の長男が事務次官でない親の元に生まれていたら、どうなっていたでしょう?
一般的な家庭であれば日本大学の理工学部までは、なんとかなったでしょうが、その後は放置される可能性が高いと思います。
彼が、我儘を言っても親の資産がなければ、そうそう甘やかされることもありませんから、良くて子供部屋おじさんと言われるような引きこもりで済んだかもしれません。
そして親が死んだら、完全な孤立です。
電気ガス水道が止まれば、生活保護か浮浪者にならざる負えません。
そこで彼はどうするでしょう?
刑務所に入りたいからとの理由で新幹線で乗客3人を殺傷した23歳の男のようなことをする可能性もありえます。
新幹線で殺傷事件を起こした23歳の男も、元事務次官の長男43歳も精神疾患があると診断されていますが、精神疾患の患者数は400万人弱だそうです。
その人達が元事務時間の長男や新幹線殺生事件犯人のような事件を起こしているわけではありません。
自己愛が強すぎると他者を攻撃したりする傾向はありますが、ほとんどの精神疾患は自分の世界に入り込み殻にこもるようになりますから、直接的に危害を加えようとする例は稀です。(精神的になんの問題がない人でも罪を犯す場合も多い)
しかしながら、独身者で精神が不安定だと恋愛と結婚には恵まれません。
とくに独身男性は、女性に受けいられることはなく、受け入れてもらえるとするなら、あきらめで受け入れる親だけで、彼らは孤独で、やはりゲームかネットの世界に逃げ込むしかないんです。
元事務次官の長男殺害事件のような事件を阻止する為に
そこで、このような事件を無くす為の方法は、彼らが拠り所とするゲーム、アニメ、ネットで彼らを更生させる為にフォローしていくのが一番だと思います。
彼らの社会との接点は、そこしかなく、そこが彼らの社会でありすべてなんですから、そこで受け入れられないと暴走してしまいます。
事実、彼がネットでゲームをしていた仲間からの評判は良くありませんでした。
でも、社会に適合できない人でも、ネットの中のアバターは恋愛していたり結婚していたりするんですから、そこで起こりうる疑似体験で経験を積み社会に慣れるようにしていくことは可能です。
もし、社会で受け入れられることがなくても、空想の世界で受け入れられれば、承認欲求が満たされ、現実社会で暴走することは少なくなるかもしれません。
5Gでより高密度なやり取りができる世界が目の前まで来ているんですから、彼ら向きのアプリやソフトを作ることで、社会との接点をネット上に作り、彼らの不満の受け入れを行い彼らの満足度を上げることで、彼らの精神の安定を図るんです。
どのような仕組みをネットで作るかまでの案も知識も私にはありませんが、人間対人間のゲームじゃなくて、彼のような人格に合わせたAIが、相手の感情を読み取りながらゲームを進めて行くようなバーチャルな世界で、社会への適合性を高めていく方法があると思います。
彼らの満足できる居場所は現社会に無いのが実情です。
このような事件を起こす人は、ネットの世界に依存している事例は多く、彼らの受け入れ先はネットであることに違いありません。
元に彼が亡くなったときも亡くなった後もゲームはログイン状態でした。
彼らを無理にねじ伏せようとしても、彼らは自己愛を爆発させ攻撃性を増すだけです。
いま彼らに取ってネットに足らないものがあるなら、その足らないものを作ることで、もっと安心できる実社会の実現が可能であるはずです。
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